【39】 個別管理型授業

 『面倒みのよい授業を行っています。・・・』

 最近の塾や学校でよく聞く言葉ですが、この言葉って意外とあいまいではないでしょうか?

 つまり、「具体的には何をやっているんですか?」って聞かれたときにどのように答えるかということです。

 以前、アクティブラーニングを取り入れています・・・ってところに、具体的には何を行っていますか?って聞くことが大事とお話ししたように、非常にあいまいな表現なため、なかなか何をやっているかわからないものではないでしょうか。

 上記の質問に対して、よくある答えは・・・

 『個別に指導し、カリキュラムも作っています』

 『テキストも生徒ごとにオーダーメイドのものを取り揃えています』

 このような感じでしょうか。

 なんとなくわかった感じはしますが、問題なのは、それを実行する際の管理が意外と大事です。

 というのも、せっかくの個別カリキュラムといいつつも結局学校の補習でしかなかったり、また逆に、学校の授業とは全く関係なく進めていくことで、生徒の勉強が散在することになったりしてしまいます。

 ですから、個別指導型というよりは個別管理型というのが大事になってきます。 きまったカリキュラムをしっかり行っているか。テキストもきちんと履修されているか酷い話は、学校によっては、最初に採用提示したテキストを全く使わず、先生のオリジナルプリントを使うこともあるようです。)です。

 キャッチは、あくまで宣伝で、実際とは違うということがあってはなりません。HASHIKENでは、その目的を達するべく、個別管理型のSS授業を行っているわけです。

【38】 入退室システム

 最近の塾業界では、入退室時間が、ご両親の携帯にメールで届くシステムが標準的に、設置されていることが多いです。もちろんHASHIKENでも設置しています。

 その目的は、生徒の安全管理のためというのが主な目的ですが、当塾で導入したのは、違った目的がありました。

 当初入塾すれば、定期的に授業に参加するのが当然のことだとおもいますが、以前はサボる生徒がいました。

 理由はいろいろあったのでしょうが、結局サボっていても、ご家庭のほうではそれを知らないので、塾に行っているものだと考えていました。

 このようなトラブルを避けるために、入退室時間を管理することになりました。

 ところで、これは塾での話ですが、以前にもお話ししましたが、実家を出て大学に通っている学生も同じような問題が生じているようです。そのために、学校側が、入退室システムを導入してご両親にお伝えしているとのこと。

 ただ、極端な話、そのシステムがあっても、必ず大学の授業に出ているかはまた別問題であることもおわかりでしょう。いくらでも、抜け道はあるものです。

 出席は通しても、その後授業に参加しているかどうかは別問題です。さらには、その出席カード等を通したのは、本人なのでしょうか・・・友人に頼むことも可能なわけです

 疑っていくときりがないのですが、純粋な気持ちで、生徒の勉学精神を信頼したいところです。

【37】 数学総合の先生の役割

 前々回話したとおり、数学総合の授業では、生徒が問題の答えを解答解説してくれます。したがって、先生はただ静観しているだけではないか?といわれるかたがおられるかもしれません。ところが、意外と大変な状況に追い込まれます。

 たとえば、学校の先生であれば、テキストがありそれには模範解答がついてきているわけで、それを解答解説すればいいので、ある程度、楽観視できるところがあります。

 ところが、数学総合の授業は、生徒中心の解答解説になるので、生徒の解答を活かしていかなくてはなりません

 「それは模範解答と違うので、間違いです」

 というのは、ここまで話してきた数学の特性を考えたなら、それはいってはいけません。それをいってしまうと、一生懸命考えてきた生徒の解答を、根底から否定してしまうことになり、やる気がそがれることでしょう。

 ですから、そのアプローチの仕方が正しいかどうか、途中で論理的に破たんしていないかをそこで判断してあげなくてはなりません。

 とはいえ、どんな解答をもってくるかは、その時までわからないわけですから、ある意味生徒から、

 『この方法ではできませんか?』

 と挑戦されているようなものです。それをしっかり受け止めてあげなくてはなりません。

 また、もし途中までしかできていなかったならば、そこからどのようにすれば、答えに到達することができるか、ヒントをだしたり、誘導する必要もあるので、生徒が板書をしているときには、いろいろと考えていかなくてはならないわけです。

 本当にその方法でも解答できるのか、できないならば、どこに問題があったのか、どうしたら良かったのかを、指摘してあげなくてはなりません。その改善点を踏まえて、次回再挑戦してくるように促すことになります。

 そうすることで、生徒の自主性を伸ばしていくことを心がけています。

 ですから、講師側にも緊張感がある授業なのです。

 

【36】 数学総合の目的と成果

 前回は数学総合の授業の方針をお伝えしましたが、その成果にはどのようなものがあるかお伝えしたいと思います。

 今はやりのアクティブラーニングなどでも、ポイントとなっているのがプレゼンテーションではないでしょうか。プレゼンをする際に、やはり板書や資料作成が必要になります。その際に、どのように書いたら相手に伝わるか、相手を意識した板書を書くようになります。

 特に重要なポイントは、数式だけではなくて、きちんと

 接続詞:“つまり・・・” “したがって・・・” “一方・・・”

 といった日本語をつかって解答を作ることが大事です。

 まだ初めての解答解説をする際に、この問題を抱える生徒がでてきます。解答をすべて数式の変形だけで作ってしまい、答えはこれで大丈夫だと思ってしまうわけです

 その際に私が上乗せ解説する際に、

 『この解答には日本語がありません!これが一番問題です』

と伝えます。なぜそうなのでしょうか。もし日本語を使わずに解答すると、

 『そんなことは、いちいち説明しなくてもわかるでしょう!』

 といった意図が採点する側に伝わってしまいます。なんとも不親切な解答なのです。たしかに、相手も数学のプロですから、わかるにはわかるのですが、回答者が何を考えてここに到達しているかを採点したいわけです

 ですからそうならないように、採点する側に親切な解答を書くことが大事です。常に、解答用紙の向こうに採点者がいることを意識してほしい。

 また段落の取り方や①②の使い方などを注意していくと、最終的には模範解答より親切できれいな解答を書くことができるようになります。なんか、国語みたいだと思われるかもしれませんが、数学での記述もそれらは重要な要素です。

 さらに解説も重要なポイントとなります。中には、板書してあるんだから解説しなくても、そのまま読んでくれればいいだろうっていう生徒もいます残念ながらそれも間違いです。

 自分で考えたことや思いついたことを、みんなが同じように思いつくとは限らないからです。そこで、なぜそのように考えたかを、資料をもとに、解説が必要になるわけです。

 したがって、プレゼンのポイントは

 『読み手を考えた親切な資料』

          +

 『資料と聴衆を結びつける解説』

 これによって成り立っているといえるでしょう。その結果、大学の授業で・・・さらには社会にでも役立つものになります。

 ある卒業生が大学に入って最初の年に、担当の教授から

 『 君はなぜそんなにプレゼンが上手なんだ 』

 と聞かれたそうです。彼は卒業生の時期も含めて、

 『 2年間みっちり、数学総合で、プレゼンの練習をさせられてきた 』

 と答えたそうです。たしかに、ほんと細かい事まで説明させるように指導していきました。この成果は、企業に入ってプレゼンをする際にも役立つことでしょう。

 このプレゼンはとても重要な意味を含んでいます。どんな解答解説をするにしても、なぜそうなのか、どうしてそう考えたのかを表現することを重要視していいるからです。そもそも、数学の解答はそういうものの集大成ではないでしょうか。

 つまりは、そう考えることが問題解決手法の一つであることは皆さんご存知ではないでしょうか。その練習をすることが数学総合の根幹となっています。