最近見かけた、あまりにひどい某私立中学の社会の授業についてお伝えしたいと思います。
きっと今年も中学受験をパスして、来年から意気揚々としておられる方もいることでしょう。ただ本当に注意しないとならないのはこれからです。
確かに、高校受験をしなくてよく、大学もエスカレーターでいけるところもあることでしょう。ただそれが逆に、カリキュラムを適当にしてしまう原因となってしまうことがあります。特に中学の理科社会は、高校受験がない分、本来は高校の内容を先取りしてやるならわかるのですが、その勉強はその時にすればいいので、中学の時期は、担当の先生に任されているところがあり、それが悲惨な結果になることがあります。
公立の中学では、一年次で世界地理と歴史の前半。二年次で日本地理と歴史の後半。三年次で近代の歴史と公民といったのがスタンダードなものです。時折、一年で地理全部、二年で歴史全部といったものもありますが、それも問題ない範囲でしょう。
このカリキュラムと比べてほしいのですが、ある中学の地理は、一年次で世界地理をやるのですが、一学期の半分は朝鮮半島、二学期全般にわたって中国、三学期は残りの適当な場所といった感じでした。中には、四大中華料理の種類を覚えさせる内容もありました。
もちろん、そんなカリキュラムにあうテキストもありませんから、一応市販のものを渡しておきながら、実際にはプリントで授業をやって、テストはそのプリントから出され、それを暗記しているかどうかの内容といったものでした。
これで、地理の勉強になると思われるでしょうか?
通常なら、最初の一年で、世界のいろいろな国々の地形や農業、工業などについて学んでいるのに、この学校では中国が好きな先生の独壇場になっていますね。きちんとした知識が関連付けて教えられているのではなくて、単なる物事の羅列と丸暗記・・・これではとても授業とは言えないのではないでしょうか?
さらに残念なのは、このカリキュラムが正しい方針に沿ったものかどうかは、ご家庭では判断しにくいということです。学校の先生のカリキュラムに苦情をいうことは、かなりの勇気のいることでしょう。
また全国範囲の実力試験などをやれば、それで成績が図れるので間違っていることもわかるのですが、残念ながらそれがわからないものになります。そこには、次のような言い訳が成立するからです。
『私のカリキュラムは、高校の先の大学受験を見据えたもので、そこでは幅広い知識が必要なり、センター試験が変わるので、それにも対応するために必要なものです』
こういわれると、そうかもと思うかもしれませんが、これは大きな間違いです。
センター試験が変わるのは確かですが、それもまずは今までのような基礎知識があって初めてのものです。どこにどんな国があるか、山がどこにあるか川がどこにあるか、どんなものが特産品かなどがわからないで、その国の問題について話し合いをすることができるのでしょうか。
あくまで基礎学力の上に、幅広い知識の繋がりがでてくるわけで、上記の言い訳は、大学受験にどのように対応したらよいかわからないどころか、自分は中学担当なので、責任は高校時の先生が担うので、関係ないといったなんとも無責任な解答になっているわけです。
さらにカリキュラムも独自のものになっているので、公立の生徒と同じ実力試験は受けられません。そのために、そのカリキュラムが正しいかどうかも計れないわけです。
そう考えてくると、ほんと私立の中学の理社は、アドバンテージを活かすどころか、むしろ公立の生徒より悪い結果が決まっているような気がしますね。
もちろん、これは某私立中学の例ですべての学校がそうとはいいません。ですが、中学受験で合格できたから安心と思っていたら大変なことになることもありますので、しっかり学校の授業の内容を確認していただきたいと思います。
次回、この学校の中学の理科についてお伝えしたいと思います。これもまた、最悪の結果が待っています。