【43】競争する環境が必要?

私どもの塾は、中小企業ですので、大手の塾ほど生徒はおりません。そのため、競争力に欠けるといわれることがあります。「競争する相手がいる環境で勉強したほうがいい」といわれるご両親もおられます。

確かに多少は環境の影響もあるかもしれませんが、ほんとうにそれが必要でしょうか。

百歩譲ってそれが必要だったとして、なんとかその影響下で大学に合格したとします。ただその後も、その競争環境は確保できるのでしょうか?競争がないと、勉強できないというのもおかしい気がしますし、また、そんなに何人も同じことを目標にするライバルが存在する環境があるのでしょうか。

社会にでたところで、いろいろな問題にぶつかるかもしれませんが、それらを解決する際にも、同じ問題にぶつかっているライバルがいるでしょうか?むしろ未知の問題のことのほうが多く、ある程度自分で、解決しないとならないことでしょう。

また大学では、すべては自己責任となります。突然休講になったり、授業が変更になったり、テストがあったりするのも、すべて自分で掲示板等で確認しないとだれも教えてくれません。高校のようなクラスや、面倒見のいい先生などはいないのですから、一人でいろいろ管理してかなくてはなりません。

そんな環境で、周りに同じことを目的とした競争仲間がいて、教えてもらわないと困るといったのではやっていけません。『大学一年次問題』ともいえる、何をしたらいいの?なぜだれも教えてくれないの?といった状況を助長しかねない気がします。

そのようなことがないように私どもの塾では、自分で問題を見つけ出し、自分で調査・考えて問題を解決することを目的としています。ある意味、最初は必要でも、途中からは手取り足取り教えることはありません。たしかに入塾当初は、なかなかできなくても、勉強法を学んでいくことで、それができるようになります。

たいていそのような要望を持っている生徒の場合、学校がかなりの競争のあるところと考えられます。そこで、できないことが、果たして大手の塾の中でできるようになるのかは疑問です。

ちなみに、以前、当塾で大学に合格したのですが、「もっと競争のあるところで勉強させたい」とご両親が、その大学をけって、大手の予備校に通うといったH君という生徒がいました。その一年後の結果ですが結局、最初に合格した大学学部に入学することになったとのことでした。彼にとってのあの一年はつらいものだったことでしょう。

結論として、競争の影響はないとはいえませんが、結局は本人のやる気が一番大事。それを環境に求めていては、将来でも躓いてしまうのではないでしょうか。