【37】 数学総合の先生の役割

 前々回話したとおり、数学総合の授業では、生徒が問題の答えを解答解説してくれます。したがって、先生はただ静観しているだけではないか?といわれるかたがおられるかもしれません。ところが、意外と大変な状況に追い込まれます。

 たとえば、学校の先生であれば、テキストがありそれには模範解答がついてきているわけで、それを解答解説すればいいので、ある程度、楽観視できるところがあります。

 ところが、数学総合の授業は、生徒中心の解答解説になるので、生徒の解答を活かしていかなくてはなりません

 「それは模範解答と違うので、間違いです」

 というのは、ここまで話してきた数学の特性を考えたなら、それはいってはいけません。それをいってしまうと、一生懸命考えてきた生徒の解答を、根底から否定してしまうことになり、やる気がそがれることでしょう。

 ですから、そのアプローチの仕方が正しいかどうか、途中で論理的に破たんしていないかをそこで判断してあげなくてはなりません。

 とはいえ、どんな解答をもってくるかは、その時までわからないわけですから、ある意味生徒から、

 『この方法ではできませんか?』

 と挑戦されているようなものです。それをしっかり受け止めてあげなくてはなりません。

 また、もし途中までしかできていなかったならば、そこからどのようにすれば、答えに到達することができるか、ヒントをだしたり、誘導する必要もあるので、生徒が板書をしているときには、いろいろと考えていかなくてはならないわけです。

 本当にその方法でも解答できるのか、できないならば、どこに問題があったのか、どうしたら良かったのかを、指摘してあげなくてはなりません。その改善点を踏まえて、次回再挑戦してくるように促すことになります。

 そうすることで、生徒の自主性を伸ばしていくことを心がけています。

 ですから、講師側にも緊張感がある授業なのです。