【36】 数学総合の目的と成果

 前回は数学総合の授業の方針をお伝えしましたが、その成果にはどのようなものがあるかお伝えしたいと思います。

 今はやりのアクティブラーニングなどでも、ポイントとなっているのがプレゼンテーションではないでしょうか。プレゼンをする際に、やはり板書や資料作成が必要になります。その際に、どのように書いたら相手に伝わるか、相手を意識した板書を書くようになります。

 特に重要なポイントは、数式だけではなくて、きちんと

 接続詞:“つまり・・・” “したがって・・・” “一方・・・”

 といった日本語をつかって解答を作ることが大事です。

 まだ初めての解答解説をする際に、この問題を抱える生徒がでてきます。解答をすべて数式の変形だけで作ってしまい、答えはこれで大丈夫だと思ってしまうわけです

 その際に私が上乗せ解説する際に、

 『この解答には日本語がありません!これが一番問題です』

と伝えます。なぜそうなのでしょうか。もし日本語を使わずに解答すると、

 『そんなことは、いちいち説明しなくてもわかるでしょう!』

 といった意図が採点する側に伝わってしまいます。なんとも不親切な解答なのです。たしかに、相手も数学のプロですから、わかるにはわかるのですが、回答者が何を考えてここに到達しているかを採点したいわけです

 ですからそうならないように、採点する側に親切な解答を書くことが大事です。常に、解答用紙の向こうに採点者がいることを意識してほしい。

 また段落の取り方や①②の使い方などを注意していくと、最終的には模範解答より親切できれいな解答を書くことができるようになります。なんか、国語みたいだと思われるかもしれませんが、数学での記述もそれらは重要な要素です。

 さらに解説も重要なポイントとなります。中には、板書してあるんだから解説しなくても、そのまま読んでくれればいいだろうっていう生徒もいます残念ながらそれも間違いです。

 自分で考えたことや思いついたことを、みんなが同じように思いつくとは限らないからです。そこで、なぜそのように考えたかを、資料をもとに、解説が必要になるわけです。

 したがって、プレゼンのポイントは

 『読み手を考えた親切な資料』

          +

 『資料と聴衆を結びつける解説』

 これによって成り立っているといえるでしょう。その結果、大学の授業で・・・さらには社会にでも役立つものになります。

 ある卒業生が大学に入って最初の年に、担当の教授から

 『 君はなぜそんなにプレゼンが上手なんだ 』

 と聞かれたそうです。彼は卒業生の時期も含めて、

 『 2年間みっちり、数学総合で、プレゼンの練習をさせられてきた 』

 と答えたそうです。たしかに、ほんと細かい事まで説明させるように指導していきました。この成果は、企業に入ってプレゼンをする際にも役立つことでしょう。

 このプレゼンはとても重要な意味を含んでいます。どんな解答解説をするにしても、なぜそうなのか、どうしてそう考えたのかを表現することを重要視していいるからです。そもそも、数学の解答はそういうものの集大成ではないでしょうか。

 つまりは、そう考えることが問題解決手法の一つであることは皆さんご存知ではないでしょうか。その練習をすることが数学総合の根幹となっています。